駅や歩道で見慣れた黄色いブロック。正式名称は「視覚障害者誘導用ブロック」で、視覚障害のある人の安全な移動を支える設備だ。ところが、同じ黄色に見えても、表面の形には役割の違う二種類がある。
線は「進む」、点は「注意する」
国土交通省の旅客施設向けガイドラインでは、視覚障害者誘導用ブロックは線状ブロックと点状ブロックで構成され、形状はJIS T9251に合わせるとされている。線状ブロックは、安全でシンプルな道すじを示すためのもの。できるだけ最短で、曲がりの少ない連続した経路に敷設する考え方が示されている。
一方の点状ブロックは、階段や傾斜路、エスカレーターの端、分岐や屈曲、停止位置など、注意を促す必要がある場所に置かれる。つまり足元の凹凸は、単に場所を知らせるだけではない。線と点を使い分けることで、「こちらへ進む」と「ここでは注意する」という異なる情報を伝えている。
黄色そのものより「見分けやすさ」
日本では黄色が強く印象に残る。岡山県も、弱視の人が見やすく周囲と区別しやすい色として黄色を説明している。国土交通省のガイドラインでも黄色が原則だ。
ただし、重要なのは黄色であることだけではない。周囲の床材との明度、色相、彩度の差や輝度コントラストを十分に確保できない場合には、黄色以外を使う例外も認められている。目立つ色を置けば終わりではなく、周囲からきちんと識別できるかまで含めて設計されている。
岡山で生まれ、国際規格にも二つの役割
岡山県の公式説明によると、点字ブロックは三宅精一氏が1965年に考案し、1967年3月18日に岡山で世界で初めて敷設された。現在では日本国内の仕組みにとどまらない。
ISO 23599:2019でも、触知可能な歩行面表示は注意用のパターンと誘導用のパターンという二種類に整理されている。日本で日常的に目にする「線」と「点」の発想と同じく、進むための案内と、注意を促す情報を足元で分けて伝える考え方だ。
毎日なんとなく通り過ぎる黄色いブロックには、色、形、並び方、周囲とのコントラストまで含めた情報設計が詰まっている。線が続いている場所、点に切り替わる場所、床の色との違いを意識して見ると、それぞれが別の役割を持って配置されていることが分かる。
「黄色い凸凹」という一つの景色に見えていたものは、実際には進行と注意を分担する二種類のサインだ。地面に置かれた小さな案内表示、と考えると、いつもの駅や歩道が少し違って見えてくる。

